村治佳織、ブローウェル、ヨーク、ロジャース、テルソン、バリオス、サグレーラス、ラウロ、プホール、マイヤーズ村治佳織が20世紀のギター曲や映画音楽などを取り上げたこの『カヴァティーナ』も、そうしたCDの中の1枚。タイトル曲は映画『ディア・ハンター』で使われた美しいバラードで、ギターの巨匠ジョン・ウィリアムスの編曲を得て「ギター音楽」の仲間入りを果たした。単純ながら奥深く、意識の底に下りて行くようなメロディーが印象的だ。村治の演奏もこの曲の抒情性をよく表現している。
ポピュラー音楽からの編曲ものでは、ほかに映画『サウンド・オブ・ミュージック』からの「マイ・フェイヴァリット・シングズ」、映画『バグダッド・カフェ』からの「コーリング・ユー」があり、後者のハーモニクスを効果的に使ったアレンジ(ブルース・スターク、佐藤弘和)が聴きものだ。
ギターのためのオリジナル曲もいい曲が並ぶ。アンドリュー・ヨークの「サンバースト」には躍動するリズムの楽しさがあり、レオ・ブローウェルの「黒いデカメロン」にはインパクトの強さとスケールの大きさがある。しかし、村治の繊細さを味わいたいファンには、アントニオ・ラウロによる2曲の「ベネズエラ風ワルツ」がいいだろう。センチメンタルなメロディーが心にしみる。(松本泰樹)