John Williams故スタンリー・キューブリック監督とのコラボレーションである『A.I.』に続き、スピルバーグは長年の盟友ジョン・ウィリアムズに、2作連続で音楽で未来世界を描くというめずらしい機会をあたえた。本作でウィリアムズは、ミニマル音楽の影響が色濃すぎた『A.I.』とはあえて距離をおこうとしてしてる。『A.I.』はしばしば20世紀初めのセリー音楽や現代音楽の作曲家の作品のように聴こえた。しかし、本作ではそうした音楽に映画音楽の不滅のワンパターンを取りいれ、ポストモダニズムというあいまいな概念に感動的な新しい視点をもちこんだ。本作の音楽がときおり、ゴールドスミス作曲の最高のSF映画音楽のような、とげとげしい感触、暗い片隅、激しいリズムを思い起こさせるとしたら、それはひとえに伝説的な映画音楽の巨匠とその並外れた作曲センスに敬意を表しているからだ。けれども、まぎれもなく本作はウィリアムズのあの心揺さぶる音楽であり、あらゆるテクニックと音楽に彩りをそえるいつもの見事な腕前を用いて、バルトークやリゲティ、ペンデレツキ、ウェーベルン、シューンベルクといった作曲家からさまざまな面でインスパイアされた「フューチャー・ノワール」とでも呼ぶべき新しいジャンルを作りあげている。
ハーマン作曲によるヒッチコック映画のサスペンスに満ちた(映画音楽の国際基準に数えられる)音楽と同じく、本作には覚えやすいメロディーはまったくないかもしれないが、オープニングからエンドタイトルまで、胸おどらせる、ときには胸を張り裂く、ミニマル音楽風味のストリングスの素晴らしい成果を聴くことができる。(Jerry McCulley, Amazon.com)