まず『マーキュリック・ダンス』は、奈良県・天河での体験をもとにほぼ即興で作られた、神々しいムードが漂うアンビエント作品。続く『パラダイスビュー』は、沖縄を舞台にした同名映画のサウンドトラックで、沖縄音楽の要素にガムランのリズムやオ神秘的なシンセなどを融合させ、アジア的というべき広がりをもった音に仕上がっている。イマジネイティヴな環境音楽の『エンドレス・トーキング』は、イタリアの美術展でオブジェとともに流されたものだという。もうひとつの『コインシデンタル・ミュージック』はCM作品集。エレガントなピアノやオリエンタルな音色、タンゴを取り入れた曲など、多彩なタイプの曲が並ぶ。いずれのディスクも、当時の彼が実験精神や創作意欲に満ちていたことがよくわかる力作だ。ライナーやアートワークも秀逸。(小山 守)